3.構造とスペック2
| ■ボディー部 @材質、構造及びデザィン(mahogany single cutaway slab body) |
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| デザインは、基本的にカープドトップのスタンダードを、プラットトップにしたシングル・カッタウェイで、ホンデュラス・マホガニー1ピースのボディーにやはりホンデュラス・マホガニーの1ビースネックが用いられており、パインディングのない、シンプルな形状である。12.75インチ幅のボディを1枚の材から切り出した贅沢な作りである。ジュニア(及ぴスペシャル)のボテイ材は,スタンダードの裏板と共用されていたが、これは生産ラインの合理化のためである。 ※まれにボディには2ピースのものも存在する。 ネック・ジョイントの構造の違いによってカッタウェイ内側のラインも微妙に影響をうけている(スタンダードのラインとは違う)。 カッタウェイは最終フレットまでのアクセスを可能にしているが、ジョイント部分の形状の関係でダブル・カッタウェイに比べるとハイ・ポジションでの演奏性に慣れは必要であるが決して弾きにくいことはない(スタンダードと大差はないだろう)。 ※が、当時勢力を伸ばしてきたフェンダーのモダンなデザイン、そこからくる操作性などは相対的にギブソンの伝統的シェイプを時代遅れと錯覚させるほどの魅力を持っていたがゆえに、これがきたる58年のモデル・チェンジにつながっていくわけである。 ポディ背面は,アッセンプリーがシンプルということもあって.コントロール・キャビティ類のルーテイングは最小限に抑えられている。ピックアップ・キャビティのルーティングも,やはりタイトであり,ポディをいたずらにルーズにしないというギプソンの伝統がここにも見て取れる。→コントロールの項参照 |
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| Aネック・ジョイント ネック・ジョィントは54年型、58年型ともにネック・エンドをそのままボディーに沈めたシンプルなポックス・ジョイント方式による16フレットでのセット・ネック。ネック材の方は加工をせずボディの方に指板と同じ幅でルーターで溝をつくり、そこにネックをはめ込むという、一見シンプルだが実は非常に高い精度の要求されるやり方をとっている。底面と両側面の計3面の接着面を持つ強固な設計となっている。接着はグルー(ニカワ)で、ラッカーの下に残ったくぼみから見て、大きなクランプ1個で固定したものと推測される。また指板エンド部のすき間のように見える部分は、組立の際に逃げ場を失なった余分な接着剤が、接着面が密着するのを妨げないようにする為の配慮だ。この「ざぐり」はネックの厚みと同じくらいの深さをもっており(約35ミリ)はじめからこの部分に隙間ができるように余裕を持って掘られていたというわけである。 また、ネック・ポケットと高音弦側カッタウェイの間に薄い支持部を残してルーティングされており、この支持部がネックをポディにしっかり固定させる上で重要な役割を果たしている。これが54年型ジュニアの大きな特徴であり、締まった音色に貢献していると評価される。支持部の形状は1本1本微妙に違いが見られ、薄いものや太いもの、また上部だけ太いものなどまさに手作業の跡が伺える。 ネックの仕込み角度は54年から55年後期までは1度、56年くらいからは2度弱となっている。1度の場合は弦高を低く設定できるよう厚みの薄いバーブリッジをセットしている場合がある。58年のダブル・カッタウェイではより深く3度あたりから最大5度のものもある。 ※なぜ54年型ジュニアにはデザイン上としては疑問符のつく薄い支持部が設けられているのか。ジュニアのネックは,スタンダードやカスタムのネックと比べて中子(ボデイとの接着面)が小さがったため,この支持部によって固定を強固なものにする必要があったのである。これにはジュニアはスタンダードと違って、指板は最初にネックに貼られた上で差し込まれており、指板自体はボディには接着されてないこととも関係する。これは,レスポール・スペシャルにも共通する特徴だ。 ※ボディ・ジョイント部における指板面下部はボディ表面と面一ではなく、一段低い所で差し込まれている。これはもともとジュニアがフラット・トップであり、スタンダードのようなカーブド・トップ自体に傾斜がついているわけではないため、ネック角度をかせぐためにネック・ポケット自体に傾斜をつけているためで、これにより指板接着部がボディにめり込まないようにあらかじめマージンをとるためにこうしているわけである。この接着方法は86年リイシューではとられておらず、指板下部はほぼボディ面一のところでセットされている。これはどういうことかというと、86年型は指板がボディにあたるところを指板の幅にそってルーティングしているわけである(この部分のみ傾斜がついている)。ゆえにボディ上部とエンド部では明確に上側の厚み幅が狭くなっているのだ。86年型のカッタウェイがオールドに比べて若干浅くなっているのはこの部分の強度確保のため支持部を広げる理由があったのではないだろうか。 ※54年型は総じてネック角度が浅いためテンションは緩くサスティンは長い傾向にある。ただ初期型には手作業によるばらつきのため1度を切るものもあったようで、この場合弦高は低くするとPUに干渉してしまうためピックアップ・カバーの高さを薄くしたものもあるそうだ。 ※年代毎にある程度仕様が判別できるのは事実であるが、それに収まらないものを個体差という言葉で片付けるのも間違いでは無いが、ネックとボディにしろ同時期に加工されたものであるなどの先入観は持つべきでなく、新しいボディに古いネックという組み合わせやその逆もギブソンもご多分に漏れずありうる。パーツなどに至っては当然新しいモデルに古いタイプのパーツがついていても何ら不思議ではないわけだ。例えば57年モデルに56年タイプの特徴があらわれているものもあるのはこのためだと思われる。さらに、50〜60年代につくられたギターが今では比較にならないほど手工業的部分が多かったがゆえに、それこそ1本1本すべて違うといっても決して言い過ぎではない。この時代のギブソンに特別なロマンを抱くのも当然といえる。 |
![]() ネックの終端には隙間を空けてある。 ![]() 指板からさらに下側で接着されたネック。 |
| Bフィニッシュ ボディー・サイド、パック及ぴネック裏はシースルーのダーク・プラウン(コーヒー・ブラウン)に仕上げられているが(brown back and neck finish)、トップのブラウン・サンパーストは思いのほか手間がかけられている。全体にウッド・フィラーを施したあと一度顔料系(木地の隠れる不透明な塗料)のイエローのグランド・コートで木目をおおった上で(この部分はさらに考察が必要※参照)、エッジ部に同じく顔料系の茶系の黒(※参照)で周囲をポカしてサンパーストに仕上げるというユニークな手法が用いられている(2 color yellow to brown sunburst finish)。限られたコストの中で最大限の高級感を出そうとしたフィニッシュと言える。使用しているラッカーは一貫してに二トロ・セルロース・ラッカーだ。 また、ボカシ部分の飛沫が細かいのは当時のスプレーガンの性能が非常に高かったのを物語っている。 ※従来トップには前面にイエローが吹かれていると言われていたが、実際にはカッタウェイ周辺の両サイドまではイエローは届いていない。また、54−55年頃のモデルにはその後のものよりも茶系の塗料は飛びやすいらしく、ダーク・ブラウンが褪色したその下地に赤茶系のぼかし部分が広く覗いているものが多い。このことからエッジ部分の塗装が意外なほど複雑な仕上げであることがわかる。黒に見えるのは実は超濃いブラウン(赤も混ざっている?濃いウォルナット・カラーという説もある)であり、ブラックも使われていたのかもしれないが単独ではなく複数のカラーを調合していたのではないか。スタンダードと共通することとして、当時の赤系の塗料は褪色しやすいという特徴はジュニアにおいても同様のようだ。 ※当時発売されたばかりのカラー写真が皆無であるためこれまでイエロー部分のもともとの色合いがわからなかったのだが、一つの判断材料として何台かのオールド・ジュニアでピックガードを外してみると、褪色していない部分からオレンジ系のレッドが確認できる。ここから推測すると下地のイエローにさらに上からオレンジ系の塗料を吹いているとも言え、この色が中央から退色することでイエローが露出していきバースト部分からボディエッジにかけて赤くなっていくのかもしれない。つまり現在多くのオールドに見られる鮮やかなイエローはもともとイエローではなかったということである。ただし仕上げのばらつきによって数種のバリエイションが存在したのかは不明である。これらをあらためてまとめると、下地にイエローがあるのは間違いなく(ただしネック終端から下側)ここにオレンジ〜レッド系の塗料を上塗りした跡、最後に周辺を茶系の黒に見えるダークブラウンでサンバーストにしたという仮説である。これによって中心のオレンジ系は褪色して下側のイエローが浮かび上がり、また周辺部分のダークブラウンも同系のオレンジが混ざっているためにこれが褪色して薄くなっていくという具合である。初期のサンバーストほどダークブラウン部分は薄くなっている。 ※また比較的初期のモデル(54年製のカタログなどで確認できる)ではサンバースト部分が中央よりにまでおよび、イエローの範囲は非常に狭かったらしくこれが40年を超える経年変化によってトップの色合いとバーストの表情に様々な変化を与えている。もちろん当時の雰囲気を残したような中央に赤みの強いトップも存在する。
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![]() ピックガードをはずすと、まだ褪色していない元のカラーが現れる。 ![]() ボディ下部にはイエロー部分が届いている。 ![]() ところが、カッタウェイ周辺にはイエローは届いていない。 |
| Cビックガード(single ply black pickguard) | |
厚さ1/8(0.08)インチ(約2ミリ)、3点止めの黒ピックガードは1プライのセルロイド製でエッジは面取りされていない。厚みがあるため、反りや割れの入ったものは比較的少ない。 ![]() なお、ピックガードはネックのジョイント部をも覆う形状になっているが、ピックガードを外してみてもポディには何ら余分な掘り込みは見られない(ジョイント参照)。 ピックアップ・キャビティも必要最小限の寸法で切削が行われており、リード線はドリルで抜いた穴に通されている。ボディをいたずらにルーズにしないというギプソンのこだわりが、ここにもひとつ表われている。 |
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| Dブリッジ(stud
tailpiece/bridge ) プリッジは50年代初期のテッド・マッカーティの考案によるプリッジとテイルピースが一体になったものでスタッド・ブリッジと呼ばれる(バー・ブリッジとかテイルピース・ブリッジあるいはマッカーティ・プリッジなどとも呼ばれるタイプ)。アルミ・ダイキャスト製で56年にスタンダードがチューン-0-マチック仕様に変更されたあとも、61年までひきつづきジュニアにはこのタイプが使用された。弦はネック側からブリッジの中をくぐって入れられることで充分なテンションを確保する。 ポディ・エンド側のスタッドにひっかかる部分の後方左右に取付られたアレン・ビス(イモ・ネジ)を六角レンチで回すことによって、オククープ調整をする構造になっている。 パーツのガタつきで不要な振動を起こすことがなく.質量の大きな金層製であるためサスティンに優れた特性を持つ。比較的ソフトな材であるマホカニーのマイルドなトーンを生かしつつ、シャープでトレブリィなサウンドをも得ようという狙いで採用したものと思われる。 そのシンプルかつ考え抜かれた構造は、開発後40年を経た現在も,なお高い評価を得ている。 ※ブリッジは概ねアルミ・ダイキャストであると思われるが初期のものにはマグネシウム・ダイキャスト製もあったと思われる。両者の採用比率がどんなものかは現時点ではまったく不明である。また、チューニングを考慮してここをバダス・ブリッジに交換したモデルも多く見うけられるが、機能性と引き換えに音色とサスティーンが犠牲になるという意見もけっこう多い。ロック・ミュージシャンの中にも一度バダスにした後、再度バーブリッジに戻すという人もいるのは一定それを裏付けるものと言える。
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![]() 50年代のスタッドは頭の面取りがシャープである。 ![]() バーブリッジはチューニングに不利だというが根気よくやれば実用上 問題のないレベルまで合わせることはできる。 ブリッジ後方に突き出た2つのアレンビス |
02/09/05