3.構造とスペック1

54年型(1954-1958) 1954 Les Paul Junior introduction specs:

 54年に登場し、シングル・カッタウェィ→Wカッタウェィ→SGシェィプと続く一連のレスポール・ジュニア・モデル。ここでは初代タイプである54年型タイプのシングル・カッタウェイ・モデルにスポットをあててジュニアの秘密に徹底的に迫ってみたい。

■ネック部
 
@へッドストック

 面取りの少ない典型的な50年代スモール・タイプ。表面に化粧板(突き板)を貼らずに、そのまま黒くペイントする方法をとっている。これはブランド・ロゴが白蝶貝ではないため埋めこむ突き板を必要としないからである。もちろんこれはコストを下げるためである。

 黒く塗られたへッド表面には"Les Paul Junior"の金文字モデル・ロゴが塗装の上からシルク・スクリーンの転写によって入れられており("Les Paul Junior" silkscreened on peghead in gold)、これは摩擦や経年変化によって薄くなったり消えたりしているものが多い。

 一方、ブランド・ロゴの"Gibson"はデカールで、上にはラッカー・コーディングが施されているので消える心配はない。これらはジュニア・モデルには標準的な仕様だ。


ジュニアなどに使われるメーカー・ロゴ・デカール
 補強は耳貼りのみで(このためへッド部では3ピース)、表面や裏面がらの補強はない。

 また,へッドにつけられたテンション角は17度と,50年代のその他のモテルと同様である。

 トラスロッド・カバーはプライのない黒の1枚板。

 ネックの木取りは木目を指板面に対して傾斜させた50年代ギブソンに共通する仕様で、これはナット付近の強度を高めるためであり、同じ理由でナット付近にかけて厚みにテーパーがかけてある。


※ジュニアの唯一の欠点とも言えるところがこのヘッドの補強材の簡略化である。もともと突き板は補強の役目のためにあるわけだが(耳貼りを隠す意味もある)、ジュニアではこれを耳貼りのみで処理している。このため、この部分に目やせ、亀裂、剥がれ、段差などを生じさせることも稀にある。

Aペグ

 丸型プラスチック・白ノプの3個のペグがひとつのプレートに1列にマウントされた3 in 1の片側3連のクルーソン。ストリング・ポストを支える役目を持つプッシュは、高級機種用のダイキャスト製ではなく、プレス成型の鳩目型のもの。

50年代のデッドストックのクルーソン・デラックス
B指板

 材質はプラジリアン・ローズウッド。バインディング無しのドット・インレイ(パーロイド)仕様(dot fingerboard inlays)。指板幅はナット部で42ミリ、12プレットで52.5ミリ。手作業の多い50年代らしくこの数値はけっこうばらつきがあり、スタンダードよりも幅広のものもけっこう多い。スケールは24 3/4インチ(24.75" scale)になっている。フレットは当初は0.075インチのレギュラーで.59年にはスタンダードと同様0.1インチのワイド・タイプに変更される。

※56年からは,通常よりも短い22 3/4インチ・スケールのネックを持つ,ジュニア3/4もラインナップに加えられた。3/4モテルでは,ネックとポディは14フレットでジョイントされていた。

Cネック・グリップ

ネックはホンジュラス・マホガニーの1ピース。太く、丸みのかかったネック・グリップ。54年の極太シェイプに続き年々細くなっていく傾向にあるが、基本的にはがっちりとした握りでこの傾向は58年のWカッタウェィになっても続き、59年から60年にかけて細くフラットな傾向に変わる。

 54年製は以降のものに比べてヒールが比較的大きい。また、55−56年製は指板エッジ部がやや鋭角的に仕上げられている。同じ56年でもTVはまだ丸みがある。以上は傾向としてそうなのか、個体差なのかはサンプル数の少なさのため断定は難しい。
 
   
   
   
   

 

■アッセンプリ
 
@コントロ−ル

いわゆるジュニア仕様、シンブルな1ボリューム、1トーンのコントロール。54年型にはゴールドのパレル・ノプ(ソーサーとかスピード・ノブとも呼ばれる)が取り付けられたが、55年の後期がら徐々にゴールドのトップ・ハット・ノプに移行し.58年末のWカッタウェィではレスポール・カスタムと同じプラックのトップ・ハット・ノプに変更された。

 コンデンサー(キャパシター)には55年頃まではグレイタイガーが使われていたが後にスプレーグ社のプラックビューティに変更された。これは値の表示が数字ではなく蜂の体色のようなカラー・コードで行なわれているため通称バンブル・ビーと呼ばれる。

 POTは初期はCRL製の500kΩ、その後CTS製になる。

 アウトプット・ジャックは.スタンダードと同じくプラスティックの四角いプレート(黒)を介してボテイ・右サイド下部に設置されていた。

当時のトップ・ハット・ノブはアンバー色ではない

55年についているコンデンサーはグレイタイガー

55年後期にはブラック・ビューティに変わる。
Aビックアップ(1 dogeare P-90)P-90についての詳細はここ

 ピックアップはいうまでもなくPー90シングル・コイルがひとつ。black coverの両側にマウント用の三角の耳を持っているため、“ドッグ・イヤー”の愛称で呼ばれている。これまでは主にアーチトップのフル・アコースティック・ギターにマウントされていたもので、耳の内側にはビックアップ・べースの突起部が隠されており、ここにプレート両端の取付穴を通して、カバーごとダイレクトに取付けられ、PU本体はポディ・トップに引っかけらた状態となる。Pー90には、上級機種のスタンダードやカスタムのように“ソープ・パー“と呼ばれる耳を持たないタイプのものもあるが、取付方法と、それによるべース・プレートの形状の違い及ぴカパーの形状の違いを除いてべースの材質、マグネット、ポビン、巻線の種類やターン数等は上級機種と同じものを使用している。

 ピックアップ・べースは洋白製(ジャーマン・シルバー)にニッケル・メッキ。コイル・ボビンはABS樹脂製の一体成型で、黒色のもの。マグネットはアルニコVが2枚。リード線はホット、コールドともに黒である。またリード線の引き出し口には黒いゴム製のプロデクターが装着されている。

 音色はこの年代に共通するシャープだがねばりのある音

※なお、大まかな区分けとして57年あたりからPUの位置はネックよりに数センチ上移動する。この理由は明らかになっていないが、音色の変化を狙ったものなのか、バー・ブリッジの弦交換を容易にするためなのか謎である。当然個体差もあり、57年以降でもブリッジよりのものも存在する。



57年型では上方に移動するP-90


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02/04/01